近くはなっていく/竜門勇気
 

休みの朝に昼過ぎに目を覚ます
ねぼすけは世界の外側にいるし
自分の内側にいる

父がなくなって
その後祖母がなくなった
なくなり続けていく
消えていったんだろ
それが誰にでもある不孝の一種だと
納得はしている

休みの朝の古びた気配を
お互いわかってる
だから声をかけあうこともない
なにかが足りない
ちがう
足りない何かは分かっている
終わった物語を続けるとき
やらなきゃいけないことがある

まるで
眠さを隠して
爪を立てる猫
一人でいった
映画館の帰り道で
自販機に小銭をぶちこんでるみたいに

近くはなっていく
近いところに行きたいだけ
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