Daydreaming/暁い夕日
透明感のある灰色の空の下
遥かロンドンの地にタイヤ
ジャガーxj_sクーペに男が乗り込む
ロンドンの街並を時速40キロのタイフーン
男の事なんて誰も気にしちゃあいない
酔い明け昨日の酒
男の事なんて誰も気にしちゃあいない
今日の夢は赤い林檎を囓る事
青果店前にジャガーを停める
男はトボトボ脱力極まりない
林檎を一つだけ買う
ロンドンの街角に男が一人、赤い林檎を囓る
一口囓って、周囲をぼんやり見渡す
人々は忙しく、右へ左へ−
たった一人で、この地にいるような気がする
男は齧った林檎を青果店前のポストの上に静かに置く
たよりない足取りで、歩く
ジャガーに乗り込む
今日の夢が叶ってしまった
明日の夢を考えなければ明日を迎えられない
静かにジャガーを走らせる
時速40キロのタイフーン
ポストに置いてきた林檎の裂傷と
街角の欠けたレンガが
男の傷と相まって、調和し、融合する
灰色の空の下
今日を生きているという夢
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