境界/ヤスヒロ ハル
 
三月の花の香りが
鈍色の空に流れている

降り頻る静電気

うつむく電灯

美しい花粉

わたしはいつも
静かな電気を知っている

春が来る前に
触れられ弾ける孤独、のこと


四月の花の香りが
季節の底流を 漕ぐ

寂しさが宇宙を呑んで
冬は暖色の街灯をともす


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