今でも私は/
宮内緑
林のはたにはまだ去年の落ち葉が
形を失わずにありました
けれども枯草色の野はとうにすぎて
春の息吹きはまた
病の床をのり越えたのです
(あなたは苦しんでいるようにみえました)
(あなたは眠っているようにもみえました)
命はホトケノザの上で踊り
また苦難の道をゆくと宣言します
眠ったままでいればいいのにと
弱気なことをいうわたしに
あなたならなんと答えたでしょう
ああ、あなたよ
あなたは一昨年の かけがえのない春でした
(18.3.4)
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