薄力粉とスティックシュガー/Seia
に
数フレームほど存在した
淡い色彩の人影を
薄力粉とスティックシュガー
それからできれば
無塩の素焼きミックスナッツ
買い物メモという現実が
不確かな過去へ向かう視線を遮ってくるその隙間
背中にぴたりと
追いかけてくるメロディ
朝からつい口ずさんでしまう歌詞は
交差点を過ぎたあたり
振り切った気でいたのに
路肩に止めてレシート確認したい
買ったよね
余計なものまで
いつもの道に入ったところで
もう玄関の鍵を開けたような気分になる
靴を脱いであがったその先が
出かける前と変わっていたとして
気付くことが出来るのか
とりあえず置いた
冷蔵庫の前のビニール袋に
赤いペンで丸をつける
古本屋で見つけた
誰かが呆れてしまうかもしれないが
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