目元のマスク/しょだまさし
「この一年間
このクラスの担任
でいられて幸せだった
ありがとな…皆
高校でも頑張れよ
じゃそろそろ式に出る準備しろ
にしても佐田(まさし)…
お前って奴は
いつもいつもふざけて
ばかりいるから
バチが当たるんだぞ
卒業の日に風邪で
マスク姿なんて…」
名指しされて口許から
目の位置にマスクを上げ
普段のひょうきんを
装った彼の笑う
その口元の左右に
フライングの涙が
流れているのを
クラスの皆は
見て見ぬふりをして
今日を限りに
座ることのなくなる
椅子から立ち上がった
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