金の鳥の羽に月の小指/田中修子
 
ときはふらりとたちよって
触れるだけ触れて 去っていく

かなしみに火傷

体ごと持っていかれそうになる そのときに
飲まれては 足掻いて

手をさしのべるのはだれ

ふくふく小さな手
やわくて うんと たしかで
小指のひきつるわたしより

冬の夜明け色の
あなたに照らされて

わたしも少し

青白くひかる 月の小指
戻る   Point(10)