金の鳥の羽に月の小指/
田中修子
ときはふらりとたちよって
触れるだけ触れて 去っていく
かなしみに火傷
体ごと持っていかれそうになる そのときに
飲まれては 足掻いて
手をさしのべるのはだれ
ふくふく小さな手
やわくて うんと たしかで
小指のひきつるわたしより
冬の夜明け色の
あなたに照らされて
わたしも少し
青白くひかる 月の小指
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