のっぽのこ/黒田康之
だも全部全部が花びらみたいに飛び散って
大きな朝の大きな空に
のっぽの君は手をのばして
ながいながい影法師になって
たっぷりとみんなの朝を作っている
やさしい笑顔で百ぺんも
会釈をすると
君は背中を丸めて泣き始めた
いやなことは全部消えて
わるい夢は全部消えてって
君の涙で
昼のけわしさももろい欲も全部全部がせせらぎみたいに流れて
ひとへのねたみも悪意やうらみも全部全部がさざなみみたいに消え去って
だれも君の儀式を知らないけれど
誰もが君になる朝を迎える
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