音/鷲田
繊細な感覚を奏でる音楽は
砂浜を横切る風の音に似ている
ヒュー、ビュー
それは脆く、脆く、脆く、儚く
吐き気が出るような血の色をしている
真っ赤な
無色透明な
想い出はそこの土の上には立ちはしない
実績等はそこの平面には登らないのです
感傷に浸り
ヒタ、ヒタ、ヒタ
感覚に押しつぶされ
ボツ、ボツ、カツ、カツ
言葉が連なられる彼方には
陽が見えない
決して明かりが見えない
走り去る車のエンジンの音
定期的に繰り返される電車の音が
平和を与える
それだけの
帰結が待っているのです
私の感情は雑音
私が感情を持つとき
雑音がそれを救うので
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