机上/あおい満月
 
机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけになった。

その一瞬前には、
たくさんの唄や、
しなやかな左腕や、
どこまでも翼のように
軽い足があったはずなのに。

私から、
できるものを奪ったのは
あなたという私だ、
私というあなただ、

吹きすさぶ嵐が
窓硝子を砕いて
去っていったあとの
部屋の机に残された
一枚の紙とペンを握りしめて

私は書く
私の血を、
私の肉を、
私の骨を、

やがて雲が切れて
太陽が地に光の筋を降ろす
その時に握りしめた手のひらには
一握の光が握られている
私は手のひらを広げて放つ

今、
机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけがある。

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