しずくのこえ/あおい満月
 
繭のなかで、
せめぎあいを繰り返した罪たちは
やがて大きくなり鏡の膜を
剥いで外へ出る。
そうして姿を見たものたちを、
石へと変えて時間を縫い潰していく。



ごみ捨て場の生ゴミの渦のなかに
白い生き物が生きていた。
皆からは黒く見えて、
忌み嫌われているが
それはとても白く美しい生き物だった
生き物は声を出すことが出来た。
まだ誰も聴いたことがない声だ。
一人の罪が、
舌を垂らしながら
生き物の前を通りかかった。
目を合わせる生き物と罪。
罪はすぐさま長い舌を出して、
生き物を巻き込み丸のみにした。
罪の喉の奥で、
生き物の鳴く滴の声が響いた。
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