家康公/服部 剛
 
不安定な天気に
心模様のゆらぐ時

わたしは自らの存在の
「奥の間」に
小さな家康公を据える

信長のように、要らない者を斬るでなく
秀吉のように、天下を取って豹変するでなく

――鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす

の姿で
わたしはじっと、鎮座する
静かな炎を瞳に認(したた)め

雲間から
時勢の兆しの、射す日まで  





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