とある一日/
木村きむ
貴方が笑うから私は怒ってみせる
茹でたパスタで曇った眼鏡の向こう
チーズが嫌いな貴方のせいで
カルボナーラが食べられない
できたてのナポリタンをほおばって
赤い口ひげを二人でつけた
私が怒ると貴方はしゅんとする
洗濯物を干していたら靴下が裏返っていた
何度言っても黒いお団子
文句を言いつつ私が直す
洗濯ばさみにぶらさがった靴下が
青空に揺れて風を誘う
五十年後もこんな日を過ごすのでしょうね
貴方が笑って私も笑った
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