充足感と破壊衝動/木村きむ
 
温もりでとろける
絡まりあった指と指
暗い部屋に響くのは
ノクターンの寝息

人はこれを幸福と呼ぶのでしょう

欲しているのはここにはない指で
せめて夢の中ではと
瞼を閉じる
見えるのは濁った水溜り

大切な泥水を詰めた小瓶を
内ポケットにしまって
行く当てもないまま走り出した

夜想曲は遠くなって
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