ケイデンス/1486 106
ペダルを漕いで走り出した
ゆっくりとしたスピードで
周りの景色に脇目も振らず
ただただ走り続けていた
もっと早く走るために
全ては描いた理想のため
多くの物を犠牲にしてきた
ルール違反も多少はした
報われる日がいつか来ると
信じてペダルを漕ぎ続けてきた
差し掛かったゆるやかな下り坂
気付いた時にはもう遅かった
自分の限界をとうに超えていた
今更ブレーキ掛けようとしても
もう止まることはできなかった
だから走り続けるしかなかった
迫り来る危機を回避したかった
結局は力が及ばないばかりに
多大な被害を生み出してしまった
それは大事な晴れの日だった
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