きみへ/あおい満月
さしだせば
手を取ってくれるほうへ
手を握れば
握り返してくれるほうへ
ゆっくりゆっくり
歩いていく。
闇のなかには星はない
星は光がつくりだすもの
本当は闇でさえ
光から生まれるもの
自分よりも長い川を
泳いできた魚の影に隠れて
黒いカーテンの裾を握りしめて
泣いているのは
信じることがこわいから。
誰かをいじめて
快楽を覚えているのは
ペンを握りしめて
闘うことがこわいから。
砂の礫ほどでも
信じられるものや
愛するものがあるのなら
いるのなら
震えながらでも
信じればいい。
そうして、
ほんとうのことばだけを
書き続ければいい。
誰も、きみを嗤わないから。
嗤えない筈だから。
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