弁解/
鷲田
眼に映る景色が柔らかい
青は青であり、空は空である
テレビで流されているニュースは事実であり
隣で寝ている君は本当に一人の君だ
そうなのに
頭に映る言葉の塊には美しさが無い
眩しさは失せて
消極的で残酷だ
言葉には美しさがよく似合うのに
ああ、僕の顔は強張る
進むでも無く
退くでもなく
思想が在るわけでもなく
志が在るわけでもなく
本能だけが空想を引き寄せている
沈黙はずる賢い
妄想や空想と現実の狭間で
弁解するのに一杯だから
男は一人叫んでいた
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