夜のカフェ/ヌヌヌ
苛々の虫はそこかしこで待ち受けている
不平等、不公平、不親切、理不尽、退屈な日常、認められないもどかしさ、愛する人の心変わり、暴力、数え上げれば切りがない
そうした辛苦に対して私達は怒る事ができる
正当で溌剌とした怒りをもってアイデンティティを保つ事ができる
アル中の男が若い給仕を小突くのを見た
女が幼子の腕を手荒く引き据えヒステリックに怒鳴り散らすのを見た
老いた父母を残して都会へ越した兄は、気まぐれに帰ってくるなり「まるでゴミ溜めみたいだな」と吐き捨てて帰っていった
私たちには怒る権利がある
怒るということは、立ち位置を明確にするということである
そして怒るということ
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