snow/mizunomadoka
 
あの子たちは軍服で
店にやってきた
礼儀正しくテーブル席に座り
人数分のテネシーを注文した
マスターは身分証のことには触れず
「お前たち幾つになる?」と言った
「20です。来年には」

ジェニーと交代して店を出ると
外は小雨が降っていた
客が忘れた傘をさして
墓地への坂を登る

死ぬなら空の中がいい
そう笑ったあの人の
石の前に花を置く

部屋に帰りシャワーを浴びて
サンドウィッチを食べる
窓の外は雪だった

ベランダに出て
星を探す
冷たい手摺に手をかけて
身を乗り出してみる

落ちてくる星は
雪で見えそうにない







彼女が眠りについてから

月は砕け散った

柵のない屋上で
老いたライオンが
赤い空を見上げる


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