Misery Christmas/のらさんきち
 
ネオンサインの海を往く
もじゃ髭の老夫
くたびれた大きな袋を引き摺るように
あの中には
子供たちの願いと、欲と
資本主義が入っている、らしい
その重みは絶えず
彼の腕を苛み
老いた腰を軋ませる

  サンタ・クロース
  あなたはこの聖夜に何を望む
  誰もあなたを知らないくせに
  誰もがあなたを愛している

煙突さえも見下ろす高層マンションを
ひと部屋、またひと部屋と巡り歩く
彼の腰は悲鳴を上げる
かの子供らは明くる朝
目覚めて喜びの声を上げるだろうか
十二月、僅かに増えたお小遣いに

マンションの陰には
隠されたようにひしめき合う
小さな家々
[次のページ]
戻る   Point(0)