菫野/むぎのようこ
花を踏んで地面に押し花を
つくりあげる
しろい脚ばかり順繰りに
刈り取っていましめ
白金色の湿原には
ゆらゆらと
あおい目のさかな
とうめいな躯
背骨と心臓
透かしてみずにとけた
波紋のうたう
ことのは
すみれのはなの野
うすあまい禁忌
いつまでも裸足のままの
はずれた季節が
順繰りにおどっては
やわらかく
こわれた戒律
わるいゆめをみた
舌がしびれて
うまくまわらないから
柘榴をかじって
とじこめられた秋の野の
やぶれた空から
降る雪も
とけるばかりのまじない
老いない、
しろい脚ばかりか
刈り取っては
くべる秋の野に
冬を
さがして鳥になる
戻る 編 削 Point(14)