うさぎと折鶴/あおい満月
 
渡す夜
の世界は、月の光に身籠られた小さな卵
が無数に光輝いていた。そのひとつのな
かに、お母さんがいる。そのとき、見覚
えのある家の明かりが見えた。(あそこで
すね)孔雀のことばに、ありがとうと言っ
て、私は家の扉を開けた。家のなかは明
るかったけれど、どことなく寂しかった。
おかあさん、呼ぶ声に呼応して、テーブ
ルに突っ伏して眠っている彼女の寝息の
手のひらには、私が幼い頃大事にしてい
た、小さなうさぎのぬいぐるみが握られ
ていた。私は金色の折り紙で鶴を折って、
その横にそっと置いた。

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