うさぎと折鶴/あおい満月
おかあさん、と呼んでも消え入りそうな
真っ暗な林のなかにいる。お母さん、あ
なたが撫でた頬のぬくもりが、白い月の
輪郭をなぞっていく。あなたのもとへ帰
りたいと願っても、月の光を頼っても、
あなたのもとへは帰れない。うつむく私
の目の前を金色の光が横切っていく。何
だろうか。それは、一羽の、身体が金色
をした鳥だった。鳥は心臓のかたちを描
くように私の周りをとびまわり、私の肩
に止まって囁きかける。(お母さんのもと
に帰りたいの?)私が頷くと、鳥は大きな
七色の孔雀になって、(私の背中にお乗り
なさい、お母さんのところまで連れていっ
てあげましょう)孔雀の背中から見渡す
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