指先の魚/あおい満月
 
針先で突き刺した
指先から
私というひとつの海を
絞り出すように
私は激しくもとめている
あなたのその、
果てない闇の底に
うつりこんだ私を

あなたは一匹の魚だ

つかまえようとしても
掴むことができない

私の手には
熱があってはいけない

熱があっては
あなたがとけて
逃げてしまうから。

熱をつくっている、
私にまとうあらゆる樹皮を
剥がして、剥がしきったさきに
あなたはいる

詩。

あなたにした
私という、

けして掴むことのできない
吐いても吐いても
吐ききれない、
尊い吐息。
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