陶芸家とわたし/服部 剛
 
わたしは回る器

道を歩くとき
佇むとき
疲れた夜、布団を被り目を瞑るとき
いつも
わたしの存在の中に立つ芯は、回転している

目には見えない陶芸家の
血液が流れる透明の手に
ふれられて
形造られてゆく
わたしの回転は緩(ゆる)やかに加速する

   *

陶芸家の住む家の
土壁の窓から
和(なご)やかな日向(ひなた)のそそぐ朝も
豪雨の声が地に騒ぐ昼も
冷えた風の吹き抜ける夜も

わたしという器は回り続ける
生きる歓びにもがきながら  





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