愛染めかつら物語/服部 剛
 
突然の突風!
で、かつらの飛んだおじさんが
とってもイケてる男である
可能性について
ある夜、僕は考えていた

クリスマス前の何故か切ない
歌舞伎町を漫(そぞ)ろ歩きながら

    *

「 その昔、頭の秘密を
  女にばらした告白の部屋で
  美人は微笑みを浮かべ
  無邪気に2回、地肌に優しくたっちした
  膨(ふく)よかな指の腹で撫でられた時
  おじさんの頬に
  一粒…ぽたり
  ズボンに沁みた、熱いもの    」

    *

エエ男はきっと顔じゃない
エエ女はきっと中味を見抜く

そんな人知れぬ路地裏の部屋に
隠れた
物語の場面を脳裏に浮かべ
ほろ酔いながら
頬を赤らめる僕は
ネオン街の生ぬるい風に包(くる)まれて
足のつま先の向くまま
賑(にぎ)わう人波をすり抜けてゆく

12月のホワイトクリスマスを
背後のBGMに…聴きながら  





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