遍歴綴り〜午後に。/ヒヤシンス
異教の里で出会ったのは魂の遍歴だった。
彼や彼女が生まれ、死に、そして生まれた。
前世の記憶が正しければ、私はハーブ売りで彼女はほんの少女だった。
そして二人でいびつな小窓から覗いたものは、海だった。
海に永遠を見、大空に明日を見た。
それは涼しい午後だった。
お互いに過去の記憶を背負って生きていた。
時は永遠を許さなかった。
やがて私は死に、彼女も死んだ。
私は海になり、彼女は大地になった。
記憶を頼りに二人は出会った。
寄り添い、愛を育み、気が付くとお互いがなくてはならない存在になった。
時は永遠を許したのだ。
異教の里ではちっぽけな存在が魂の遍歴を静かに綴っている。
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