巡る心〜朝に。/ヒヤシンス
ため息交じりの朝、風はそよぎ、鳥は歌う。
ベランダに用意されたささやかな食事。
葉を落とした木々が静かな影を落としている。
すべてが謙虚な幸せに包まれている。
注がれた珈琲に冬の匂いが溶け込んでいる。
昨夜は雪が降った。
目覚めたピアノが薄暗いリビングから流れてくる。
朝がたった今始まったのだ。
冬枯れの公園に人はいるだろうか。
あと何度私は目覚めるのだろうか。
回転木馬のように巡る心は。
人生の黄昏を待ち侘びる心は純粋に透き通っている。
限りなく透明に近いこの朝のように。
美しいピアノの純音だけがこの朝にときめいている。
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