自らを脱ぐ/
服部 剛
やがて夜は更けゆき
恐れと不整脈は
徐々に…消去するだろう
私はゆっくり「扉」を、開く
(微かな光は隙間から洩れ)
まぶしい彼方から
誰かの影が
一通の手紙を携え
こちらへ歩いて来る
仄かな明るさに充たされた
脳内に除夜の鐘は鳴り響き
呪文は繰り返される
〈私ハ私ノ主体ヲ、棄テル〉
〈私自身ヲ 空洞ニスル〉
〈私ノ中デ 誰カ ガ生キル〉
今まで
自分を覆っていた虚飾の皮は
ぱらぱら、剥がれ落ち
めくれゆくほど
肉体に宿る 裸の心 輝きを増す
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