小さな箱/服部 剛
 
あの頃
布団に包まりながら
小さな糸口を探していた

抱えた頭の中で
絡まる悩みを
こねくりまわしては
豆電球のぽつり、灯る
薄暗がりの部屋で
見上げた
時計の針はすでに 午前一時

何処へ腕を伸ばせども
手のひらに掴む答もなく
(長い間、陽は昇り、陽は沈み)

布団からむっくり、起きて
ラジオのスイッチを ON にする
小さな箱から中島みゆきは
「時代」を唄う

歌の途中でフェイドアウトしてゆく
CM前の――静寂

窓外の何処か遠くから
貨物列車の夜明けへ走る
微かな音が聴こえた  





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