0.1ミリメートル未満の心/のらさんきち
 
ノートの一面に書き込まれた文字たちを
消しゴムで斜めに切り落としていく
行き先を失った半直線の切り口から
じわじわと滲み出る、意味のドリップ

味気ない線の切れ端だけが残り
毛糸玉のように絡まって悲鳴を上げているね
俺たちに心はあるか?
俺たちに心はあるか!?


ワラ


やがて帳面は
降り積もった雪のように沈黙し
無慈悲な指が
消しゴムに残る僅かばかりの残骸をも
ひと撫でで拭い去る
誰も知り得ぬものがこの世にあった
その証さえも忘れられていく

心なんて
見えるはずもない
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