玩具/あおい満月
 
だ。あなたの
所為にすることによって、私は自
身を正当化しながら、海を泳いで
きたのだ。ずぶ濡れの私の身体に
あなたはいつもタオルを差し出し
出してくれていたのに、あなたの
優しさを心でふり払うことによっ
て強くなろうとしていたとは、そ
んなペルソナは段ボールで出来た
玩具のようなもの。右手で簡単に
握りつぶすことが出来る。あなた
を振り切るために愛してきた悪の
呪縛から目覚めた私は、もうあな
たを苦しめない。年老いたあなた
と歩める時間は、もうあとどれく
らいだろう。それでも、お母さん
、明日はきっと晴れるはずだから
、一緒に歩いていこうね。そう思
っていたら、アスファルトの窪み
に躓いて膝を擦りむいた。滲む血
を舐めると、懐かしい味がした。

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