明日も働く者のための麦酒/のらさんきち
 
プシュッ!
プルタブを引く音が一日に楔を打つ
ネクタイを少しだけ緩めた
午後十一時
泡立つ黄金色の液体を流し込んだ
喉が苦味で灼ける
祝祭とは程遠い
労働の味

それはワインであってはならない
擦り減るような一日の応急処置
それは燗酒であってはならない
闘いはまだ終わっていないのだ
それはウイスキーであってはならない
私は身一つで日々を生きる者

ほろ苦い血が体中を巡り
私の脳を問いに沈めていく
私はよく努めただろうか
私はよく務めただろうか
明日はよりよく生きられるだろうか

ひと缶の中身はやがて
私の体に丸ごと移し替えられて
ままにならない明日を予言する
働くとは、そういうことだよと
微かな甘みに追記して

今日も一日、お疲れさま
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