何処/為平 澪
憧れる街は いつもディスプレイの中
モニターに入って人混みに紛れてみると
誰かの指で私はデジタル文字にされたり 欠けた映像として
スクロールされておぼれて消える
明日の浮遊物が明後日の沈殿物になる街の
七十五日の話題を追いかけても
答えは前後左右に散らばるだけの罠
現世を映す鏡を人差し指で弾く人の、揚げ足をとり
また人差し指が、はじく、はじく、また誰かを指す、その指
会話をなんとか縫合しようとしてみたら
今度は親指で話題を葬るバーチャルリアリティー
小さな古家に住んでいた祖母が言っていた言葉
(阿弥陀さんが、みんな見とるから安心してここで暮らしたらええ
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