新幹線待ち/吉岡ペペロ
 
それはあきらめではない

感情からにげているわけでもない

目に見えないものを見つめているだけだ

背景が実体を規定していることを受け入れているだけだ

だからそれはあきらめではない

にげでもない

目に見えないものを見つめているだけだ


新幹線待ちの白人の夫婦や東洋人の家族連れ

キャリーバッグにホームの光が弱く貼りついている

雨が降りそうだけど乗ってしまえば関係ない

人はなぜ旅をするのか、あの人たちの幸福とは何か


それはあきらめではない

感情からにげているわけでもない

目に見えないものを見つめているだけだ

背景が実体を規定していることを受け入れているだけだ

だからそれはあきらめではない

にげでもない

目に見えないものを見つめているだけだ





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