或る夜の対話/服部 剛
 
ジョン・レノンのいない世界で
僕等は何を歌おう

時代の不安にも
群衆の病理にも、薬は無い

夜の部屋で
壁に掛けられた絵画の風景

二十一世紀の廃墟を見渡して
塔の高さで立つ巨人の影に
宿る
赤い心音と
僕の心音は、重なり
世界に響くだろうか?

絵画の中に立つ
彼と
僕の
瞳に映る、ひとつの夢

お互いを区切っていた
境界線が消える  





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