朝食林檎ヨーグルト/のらさんきち
 
艶めく林檎の滑らかな膨らみに
包丁の刃を当てて一息に押し切る
迸るエチレンの醇香
生まれ立ての双子は
仄かに黄味がかった白い果肉を
更に真白な俎板の上に
投げ出していた
あられもなく

僕は無慈悲にも
その片割れをうつ伏せに押さえ付けて
次々と刃を這わせていく
初めは優しく
撫でるように奥へ
やおら猛々しく
一気に手前へと引き切る
ひとつはふたつに
ふたつがよっつに
まるであどけない櫛

そのひとつひとつを抱き上げて
つんと尖った尻に刃を差し入れ
強張った芯を抉り取る
そして僅かに纏った紅い衣の下
包丁を滑り込ませ
なだらかな曲面に沿って
少しず
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