11351110111238/竜門勇気
この見渡すかぎりの
芽吹きの果てに
わたしは満ち満ちて
君がそういわなくても
俺には
この全てに
問わず語りで
君の影を見ている
名前をつける前に
消えてしまった朝にも
名前をつけた途端に
誰かが持っていってしまった
夕暮れにも
眠る時には
靴下の片方を
抱きしめていたり
ゴムホースに
愛を囁きかけていたり
薄暗い場所に
詰めかける墓標製作所
今日こそはって
唇の端を舌で触る
自分の名前がないことに気づいて
ポケットを探る
ない。ないはずないよね、探さなきゃだし
見つけなきゃだし
けどないから黙って墓標を睨んで
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