大学時代の先輩と飲む/北村 守通
 

大きな背中の後ろ
歩く

語る言葉が少なくなっても
語るべき言葉が見つからなくなっても
駅までの距離が短くなっても
ふらつく足元の
記憶があいまいでも
あなたの背中はくっきりと見える

忘れ去られそうに
なっていた記憶のかけら
忘れ去られそうに
なっていた自分自身
引っ張りあげて
思い出させてくれた
最後の
最後まで
面倒見てもらった

やっぱり
あなたの背中は広い
やっぱり
あなたにはかないやしない
やっぱり
あなたの顔
まっすぐ見据えられない
やっぱり
あなたが
先輩でよかった

この次は
いつか
会えるでしょうか
この次が
いつか
来る日を信じます
この次は
もっと
もっと
話をします
この次は
必ず有給休暇とります

  明日はたぶん
  二日酔いなんでしょう
  明日はたぶん
  頭が痛むのでしょう
  けれども
  それは
  あなたと会えた証し
  消えないでいて欲しい
  あなたと会えた証し

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