大学時代の先輩と飲む/北村 守通
 
かつて
ともに歌った
歌の
楽譜のページが
にじんで
黄ばんで
ぼやけたとしても
私のことを
呼び捨ててくれる
あなたの声は
変わらぬ
大きさで
私の背中叩く

かつて
ともに
風呂に入って
洗った
二人の髪が
今では
見る影も
なくなったとしても
私のグラスに
酒をついでくる
あなたの顔には
今でも
変わらない
満面の笑みが浮かぶ

今では
変わった家族のことや
今では
変わった住処のことや
今では
変わった趣味のことや
あれや
これや
肴にして
夜は進む

今では
泊まれなくなった
大学を通り過ぎて
今でも
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