この街/あおい満月
薄いヴェールを剥ぐように
私にしかみえないものを探
している。私はどこにいる
のか。既知の街が未知に見
えるほどこの手に握りしめ
た切り札は擦りきれてボロ
ボロだ。この街はいつも雨
に濡れている。冬に染まる
空と風の匂いは、いつだっ
て世界の均衡を乱していく
足をとられて、叩きつけら
れたアスファルトは異国の
冬の風景のように冷たい。
けれど生まれたての肌のよ
うなあたたかな微笑みは、
この足元にはひしめいてい
るはずだ。擦りきれた切り
札を握りしめて私は今日も
この街の囁きを探しに行く
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