心の天涯孤独/あおい満月
 
                   
刃を突き刺した手のひらから風が生まれていく
生まれたての風はまだ向かうべき場所を持たな
い風を生み落とした私の指先さえもすり抜けて
風たちは蒲公英の綿毛のように空へ舞っていっ
た。風たちは私の欠片をくわえてどこへ向かう
のか。川が海で交わり道が街で交わるようにい
つか誰かの腕の皮膚に交じり新たな風を生み落
としていくのだろうか。そうして生まれたいく
つもの風の子どもたちがやがて世界を創ってい
く。世界中の人々の耳に耳を澄ます。ノイズと
ともに聴こえてくる声に震えたら、あなたには
私と同じ風が流れている。その身体に刃を突き
刺せばあふ
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