例えば、君もだ/竜門勇気
 

僕は冬が好き
すきな服を好きなだけ着れる
厚着の着ぶくれの薄汚い男であれる時間を大事にしたいんだ
二日酔いで頭が膨れて死にそうな気分で
場違いなデパートの酒屋をぐるぐる回る
最後に飲む一杯を想像して

昔見たんだ
だから知ってる
寒いときでも薄着のほうが
ずっと洒落てて
いいことなんだって
だからあんなに薄くて暖かい肌着が売れてるんだろ?
でも僕は知ってる
本当に寒いときは
本当の寒さの中に行くときには
分厚くて重たいものしか信じちゃダメなんだ

時代遅れをこねくり回して
作った最先端のみんなが使ってる優しいまがい物
百年持たなくていい
僕が死ぬまでそ
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