散歩しながら/吉岡ペペロ
ぼくらはぼくらを中心とした宇宙しか持っていない
ぼくらはぼくらからしか世界を考えられない
なのに地動説がまかり通っているのがとても不思議
犬の散歩をするひとが冬の街角に消えていく
ぼくは空を見てさっきからついて来ている鳥の散歩をする
昼間オリオンがある空にはオリオンが見えないと思う
それどころかまったくちがう宇宙から見れば
まったくちがうかたちどころかその宇宙にはオリオンはない
鳥はぼくについて来ているわけではないだろう
ただその範囲の空間を翔んでいるだけだろう
ぼくらはぼくらを中心とした宇宙しか持っていない
ぼくらはぼくらからしか世界を考えられない
なのに天動説がまかり通っているのがとても不思議
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