上京乗り鉄記/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
 
なぜか落ち着く色あいだったのが東武、それも東上線だった。
 そのせいかわからないが、何度目かわからない転職を繰り返すと、落ち着いた先は東上線だった。自衛隊時代に知り合った知人に沿線住人がいて、そいつと仲良くなってタイミングよく一緒に住むことになったからだ。
 いろいろあって時期は短かったが、そのまま地域に腰をおちつけることになった。
 それから長い間、東京から埼玉に引っ越しもしたが、仕事もしやすかったので、東上線には数年前までお世話になることになった。
 東上線のあの色が呼んでいたのか。
 いまとなっては不思議だ。
 
「ねえ、ごはん食べよー」
 妻に言われ、回想から引き戻された。わかったと言い食事の用意をする。

 それから年を取って東上線から離れる身になったが、たまには行くこともある。


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