秋の名残り/ヒヤシンス
よく晴れた日、木の下に立って空を見上げる。
くたびれた木の葉が太陽の光を受けてオレンジ色に透けていた。
これほど美しい情景があろうか。
溢れた感情がフレームに収まり切れずシャッターは切らなかった。
透けた葉越しに太陽を覗くとそれは秋だった。
こんな小さな出来事に晩秋の匂いを嗅いだ。
もうすぐ冬がやってくる。
葉っぱの奴はそれに気付いて精一杯の情感を私に与えた。
悲しくはない、ただ少し寂しいだけ。
今の私に、決してあきらめるなと語ってくれているような気がする。
私の心は決してあきらめないと無言で答える。
秋の締めくくりを、初めて私は見たいと思った。
淡い風に吹かれて、一枚、また一枚と葉っぱは朽ち落ちてゆく。
季節の情感をただその木の枝に残して。
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