帰郷/
むぎのようこ
ざりざりして
つめたい砂底に種をうえては
おびやかさない
まねくのはいつも、水
ひらかれた土地の穀物の声
らー、
と揺れている風の脚
とうめいを覗いたら景色になる
穂はしたたり
たおやかな実りを凪いで
すすぐように漕ぐ
この水辺はてきせつ
だから
おびやかされない
子どもの鬼のつのを摘み
のみ干す
目敏く
いたたまれない
柔いたましい
しずめてはうかべて
微睡むあいまに星になり
ざくざくとはだしで
かえり
しとしとと川になる
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