希望/為平 澪
「希望」が足りないね、と小さくレジで笑われた。
小銭の中には 絶望がびっしり入っていたので
安心していたのに、「希望」が足りないせいで今日
もごはんが買えない。
てっとり早く生きるために、神社に行って拝ん
でみると、感謝箱が現れた。その中から「希望」
のようなものの匂いが立ち込めるので賽銭泥棒を
してみたが、小銭入れの中に増えたのは、罪悪感
だった。
神主は私を見ると罪悪尽忠の凡夫だと警察に突
き出した。警察は、私の持っている小銭入れを確
かめると、ニヤニヤ笑いながら棒で殴り、黒い手
袋で口を塞いだ。
次の日、テレビは嬉しそうに喋り続ける。
【たった今、絶
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