時代/鷲田
 
感覚は嘘をつく
並べられた机
共に歩もうとする人間のリズム
時の香りに染まった絹の色は
明るくもあり暗くもある

高揚の時代の後にあった一つの遭難
女の目から精神は奪われていた
重かった身体
悴んだ冬の白さ

何を失い、何を得たか
認識する頃には
太陽は西に沈み
世界は循環していく

沈黙を恐れて歩みは続く
光りが纏わる過去は
次第に歴史に変わっていった

明日、真実を私は語る
そして、その真実は嘘である
並べられた椅子
真白の虚雲から降る雨は冷たく
アスファルトの地面にポツリと落ちる
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