おれたちの抜糸/初谷むい
 


あしゆびのあいだに隠れているてがみ
はち蜜でできたれんがのラブホテル
天国のかわりにレンジを置いてゆく
100万で買えるわたしのつばさぼね
ついらくのたびに溺れてゆく犬歯
連れてくよもう実のならないりんごの木
おれたちの抜糸あなたは元気かな



夢のようだった、とあなたは言っていたけれどあれはほんとに夢だった、あなたが住む街で空気が冷たくなって、それはわたしの心臓もゆっくり冷やしてゆく。所有されたい。夕日がゆっくりと沈んで、まいにち、たしかに世界は終わってゆく。地球に大気がある、オゾン層がある、かみさまが、いのちだとするならば、わたしたちはみんな、やっぱりかみさまのこどもだね。かみさま、手を振ることのただしいかたち、わからないけど、届いたらいいな、と、おもっています。


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